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「こんな棒っ切れで魔法って使えんのー?」

杖のお店を出て、自分の杖だと言われたものをぶんぶんと振り回していたら母さんに頭を引っ叩かれた。
スパン!といっそ清々しい音に周りの通行人が振り向いて何か言っていたけれど、生憎、私は英語がわからない。
そう、私は生粋の日本人。
現在地、よくわからんイギリスの商店街……?
ついこの前、大きな梟が昼間に飛んでるの見てびっくりしたのと同時に我が家に手紙を届けたのにはほんとにびっくりした。
英語で書いてあった手紙。
私宛てのもの。
ホグワーツってなんぞやと父さんと母さんに言ったら、2人から2人は魔法使いだと言われた。
ええーっ?ほんとにござるかぁ?って言ったら母さんに引っ叩かれたけどね!!
しかもうちの家系は由緒正しく、珍しい東洋の魔法使いなんだとか。

「名前、アンタに翻訳魔法のかけたアクセサリー買おうと思ってるからどっかの店で買ってきなさい」

「1人で!?」

「話しかけられたら話せないって言えばいいでしょ?」

「あいきゃんとすぴーくいんぐりっしゅ」

「そうそう」

金貨を何枚か渡されて、母さんが雑貨屋に私を押し込んだ。
終わったらマダムマルキンの洋裁店に来なさい。
そう言って。
ええっと……さっき前を通ったな……メジャーが勝手に動いてた気がする。
とりあえず雑貨屋の中をうろうろと回ってみた。
一応学校だから目立つのはやめた方がいいのかな?
ブレスレットとかイヤリングとか目立ちそう、ネックレスにしとこうかな。
友達に私がアクセサリー選んでるところ見られたら絶対爆笑される。
──あの名前がアクセサリーとか!!マジウケる!
──大丈夫名字さん……何か変なもの食べた?
……容易に想像できるのもいかがなものか。
あまりジャラジャラしたのもあれだからシンプルにいこう、そうしよう。
赤い宝石っぽいのがついたネックレスを選んで、お会計を済ませて外に出た。
新学期も始まるからここは混んでるらしい。
人混みは好きじゃないなあ。

「わ、あんなでっかい人もいるんだ……」

気分が悪そうにのしのしと歩く人を見て、母さんが向かったであろう洋裁店へ向かった。