─side:アチャモ─
キモリやミズゴロウに追いつける!
なんて嬉しくて僕のトレーナーになった女の子を見ながら思った。
この子の最初のパートナーなのかなって。
でも、ミシロタウンを出る直前にそれは打ち砕かれて。
その子、名前にはもうパートナーがいた。
アブソルって種族のポケモン、名前はルル。
多分、睨んだわけじゃないと思うけど、でも目付き怖くて。
名前が僕をルルの上に乗せたのはびっくり。
「えっと、〝ひっかく〟」
『うりゃああ!』
でも野生のポケモンたちとのバトルでは、僕が活躍するよ!
ルルはジゼルの傍に立ってるだけで、特に僕に声はかけてくれないけれど。
ポチエナを倒して、名前のところに跳ねながら戻っていく。
『どう!?勝ったよ!すごいでしょ!』
「お疲れ様」
ぴょんぴょんアピールすると、名前は笑って僕の頭を優しく撫でてくれた。
隣のルルは、僕に視線を向けないで他の方向を向いている。
…………ちょっとくらい、見てくれたっていいじゃないか。
そりゃあ、僕の方が新米だしルルより弱いかもしれないけどさ!
お疲れ様って言ってくれてもいいじゃん!
そんな抗議を名前が何かの機械をいじっている間にしたら、ルルはちらりと僕を見て、そしたらすぐそっぽ向いた。
む、むきぃぃぃぃ!!
『なんだよー!名前が仲良くしてって言ったじゃんか!!』
『…………必要と感じたら、と返事しただろう』
「さっきからアチャモどうしたの?」
『ジゼル~!』
『そんな甘ったれた声を出すな、喧しい』
『なんだとぉぉ!?』
「え……仲悪い感じ……?」
僕が一方的にルルに怒鳴っていると、後ろの草むらからガサガサと音が聞こえる。
ジゼルも僕もルルも振り向くと、縄張りで騒いでいることに怒ったポチエナが。
「ほらアチャモ、またお願いね」
『ルルなんかに負けるもんか!』
「なんかテンション高いね……?よし、〝ひのこ〟」
見てろよ!
絶対にルルより強くなってやるんだから!!