「佐久間……源田……なんか、いつもと違うね?」
あんた眼帯それどうなってんの、むしろ取っちゃいなよ、ていうかそんな怖い目は隠してよ。
そっちだって、そんなに髪の毛もさもさしてたっけ、傷だって、あったっけ?
気がついたら真っ暗な部屋の固めのベッドの上。
なんでここにいるんだっけ?
佐久間と源田のお見舞いに行ったら、ふたりとも知らない男の子と一緒にいて……
あれ、よく思い出せないな。
少し残る気怠さとか、眠気とか、覚えが無い。
練習着のまま、制服や愛用してるグローブが入ってる鞄はベッドの近くにある。
「名前はここから出れない、出ちゃいけないんだそうだ」
「は、」
「大丈夫、総帥はお前を手荒に扱わないだろう?だから、いいって言われるまではここにいるんだ」
源田が私に言い聞かせるように頭を撫でた。
待て待て、総帥、ってことはおじさん?
あの人捕まらなかったっけ。
どういうこと、もっとわかるように言ってよ。
呆然とする私を置いて2人は部屋の外へ足を向けた。
ハッとして、急いで2人を追いかけようとベッドから降りたけどなぜか眩暈がして足が縺れてその場に倒れる。
なにこれ、どういうこと、ほんとに。
痛みに顔を歪めて、それから2人を見る間もなくドアが閉まる音が聞こえた。
顔を上げると、ぴったりと閉まったドア。
部屋も少し暗く感じる。
照明はついてるけど薄暗い。
どうしよう、どうすればいいんだろう。
足取りは覚束無いけど、なんとか立ち上がってドアに近づいた。
ちょ、これあれだ。
ドアノブがない。
どうやって開くの。
「これ監禁じゃね?軟禁じゃねーよ監禁だよ」
勘弁して。
ドアから離れてさっきまで横たわっていたベッドに戻る。
そういえば、鞄が置いてあるんだ。
……こっそりいつも持ってきてる、携帯なら!
ごそごそと鞄を漁れば、奥底から携帯が出てきた。
折りたたみ式のそれを開いてとにかく誰か、まあこの件の首謀者と思われるおじさんにワン切りたくさんしてやろうと電話帳を開いたところで動きを止める。
「圏外って何事……!!」
なんだよここどこ……!
お願いだから佐久間も源田も戻ってきて……!!