コトキタウン

どうやらルルとアチャモの仲が悪いようだ。
どっちかというと、アチャモがルルに噛みついているというか……
それを適当にあしらっているルルに見える。
まあでもとりあえず、回復だけはして行こう。
アチャモとルルをそれぞれのモンスターボールに戻し、それからジョーイさんに預けた。
待ってる間は近くのソファーに腰掛けて、ポケモンマルチナビを見る。
ここがコトキタウン、ここがミナモシティ。
遠い……果てしなく遠い。
普通に行くにしろ、道を変えるにしろ、どのみち〝なみのり〟か〝そらをとぶ〟は必須だ。

カイナから出てる連絡船も、カイナに行くまでに〝なみのり〟が必要。
それに、その技マシンは秘伝マシンだ。
ちゃんと扱うにはジムリーダーからポケモンリーグ公認のジムバッジを貰わなければならない。
……果てしなく遠い道のりだ、いろんな意味で。
というか私がジムリーダーに勝てるわけがない。
ルルと一緒にいるのは長いけど、ちゃんとバトルをしたわけじゃないし。
技だって、〝きりさく〟と〝つじぎり〟と〝つるぎのまい〟が使えることしか知らない。
もしかしたら他にも覚えてるかもしれないけど、知る術がない。

「名前さん、ポケモンの回復終わりましたよ」

ジョーイさんに呼ばれ、カウンターまで行ってモンスターボールを受け取った。
みんな回復しましたよ、と笑顔のジョーイさんにお礼を行ってボールを腰のホルダーに付ける。
さて、行こう。
今度はアチャモもルルも出さないで歩き出した。
野生ポケモンが出たらアチャモを戦わせればいい。
それにしても、めんどくさいことになったなぁ。
溜め息をつくとルルのボールが揺れる。
大丈夫、まだ大丈夫だよ。
きっとルルも溜め息ついてるんだろうな。
そんな姿が目に浮かんだ。

2023年7月25日