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今度は別件でヴァチカン本部に呼び出された。
検診でもないし、他には呼び出されることに心当たりはないんだけど。
シュラが一緒に来るのはいい、雪男くんがいるのも理解できる、けど!

「あーやだやだ嫌いな上司もいるとかさー」

「置いて帰りますよ」

「学校あるからやだ」

現地の祓魔師に案内されて私たちが入った部屋にはエンジェルさんとライトニングさんもいた。
なんだろう?
メフィストとシュラは事情を聞かされているらしいけど、私と雪男くんは聞いてない。
…………ちょっと待て、私一応上一級なんですけど。
エンジェルさんが私と目があうとにっこりと笑う。
もうご褒美ですひと月給料なくても心が潤いますはい。
見取れていると、後ろからシュラが私の頭に手刀を強めに落とす。
何すんだ、と食いつこうとしたら今度は私の首根っこをメフィストが掴んだ。

「今日は、名字上一級祓魔師に頼み事があるんだ」

不意に口を開いたのはライトニングさん。
私?
上一級祓魔師とはいえ、下っ端に近い私に頼み事?
なんだ、それ。
じゃあ雪男くんが呼ばれた理由は?

「名字上一級祓魔師が条件をクリアできなかった場合の予備になるのかなー、君が無事クリアすればいいんだけど」

そう言って、他の祓魔師が持ってきた大きな何か。
エンジェルさんの身長よりもあるそれは、明らかに凶器だ。
持ってみてー、とライトニングさんが言う。
え、これさ、断頭台にあってもおかしくないようなものなんですけど、それをJKに持たせるの?
え?しかもその刃、なんか赤くなってません?
赤錆?違うよね絶対。
私の目に間違いがなければめちゃくちゃおっきな斧なんですが。

「いや持てませんって」

「大丈夫大丈夫、アーサーの推薦だから」

「よっしゃ頑張ろ」

それはさ、頑張るしかないでしょ。
コートの袖を捲くって、彼らの持ってる斧の柄に手を伸ばした。

2023年7月28日