コトキタウンのポケモンセンターの部屋を取ってから、ルルとアチャモを回復させてベッドに腰かける。
泊まっていく?と誘ってくれたハルカの誘いを断って、なんとかここまで来れた。
ひとりでいろいろ考えたかったし、これでよかったかな。
ベッドの上で跳ねて遊ぶアチャモを見て、私の膝に体を乗せてるルルの毛並みを撫でる。
首元のふわふわの毛に、体のさらさらの毛。
ああ、落ち着くなぁ。
ルルを撫でながらマルチナビを手に今後の簡単な流れをおさらいしよう。
とりあえず、ミナモシティに帰るには〝なみのり〟が絶対にないと帰れない。
ひでんマシンも手に入れなきゃいけないし、確かひでん技を使うにはリーグ公認のジムバッジがないと使えない。
私がそんなもの持ってるわけもなく。
これから各地のジムに挑戦しなきゃいけなくなった。
それと、〝なみのり〟を覚えるポケモンもいないとだめだよね。
……水タイプの子、捕まえないといけないな。
「……先が長くて、不安しかないなぁ」
「チャモ?」
「グルルル……」
溜め息と一緒に言葉を吐けば、アチャモが私の手元を覗きながら首を傾げ、ルルも仕方ないと言わんばかりに喉を鳴らした。
兄さん、一応私のためにこういう状況にしてくれたんだけど、外へ出るあまり行かなかった私にはとてもハードルが高いです。
博士も、ポケモン図鑑を渡したことを理由にしていいって言っていたけど。
身を乗り出していたアチャモの首元に手を伸ばしてわしゃわしゃと毛を乱すと気持ちよさそうに鳴く。
……あ、アチャモにも名前、付けてあげよう。
「アチャモ、君の名前は何にしようか」
「!チャモチャモ!!」
ルル以外に名前なんて考えたことなかったからなんともあれだけど。
アチャモ……炎……火……
んん……フィーリングになるけれど。
「アチャモ、君の名前はヒエン」
ヒエン、緋焔。
まだまだ小さな炎しか使えない君だけど、その炎はとても鮮やかな炎だから。
きっと私のアチャモには、その名前がしっくりくるんじゃないかな?
言い聞かせるようにヒエン、と何回も言っていたら、アチャモは、ヒエンは嬉しそうに表情を綻ばせると私に体を擦り付ける。
「改めて、ヒエン。これからもよろしくね」
「チャモ!!」
そう言って頭を撫でると元気な返事が聞こえた。