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手折られる前も美しい

その娘の柔らかな表情に柄にもなく惹かれた、有り体に言えば心を奪われたのだ。家は前々から声をかけているが、なかなかいい返事をもらえたことがない。由緒正しい旧華族、現在ではほとんどが政治家として政界に関わる家だ。そんな家を含め、政界に関わる人間…

孕んだ鎖は解けない

※もしも身籠ったら、の話 「ごめん榊くん、使って申し訳ないんだけどトイレまで運んでほしい、ダッシュで、なるべく揺れないように」「すげー無理難題言うじゃん」でもちゃんと揺れないようにしてくれるのは助かる、本当に。ここのところ、体調が…

鰭がないと泳げない

思えば、浅はかだったんだと思う。この人がどんな人なのか、私に対してどんな感情を抱いているのか。あまりにも知ろうとしなかったし、でもその結果がこんなのはあんまりだと思うし。膝を抱え、久しぶりにじくじくと痛む足首を掴む。もう傷そのものは塞がって…

乖離と甘受

「おそらく風邪ですね。最近冷えてきましたしここでの生活にも慣れて気が抜けたかと。念の為解熱剤と胃腸薬を処方しましょう、とりあえず一回分はここに置いておきますから何か食べてから飲んでくださいね。残りは後で届けさせます」お大事に、と出て行った往…

その号哭を飲み下す

「少し飲まないか。君は辛口が苦手なようだから口当たりが甘いものを用意させた」に与えている部屋を訪れると本を読んでいたらしい彼女が目を丸くして手を止めた。珍しく寛いでいたのか、仰向けの体勢でだ。私と目が合うとサァ……と一瞬で顔を青褪めて素早く…

共寝の後に

ぼんやりしていた意識が浮上する。気怠さが体を襲うけど、はっきりしてしまった意識をそのまま委ねるのはなんかできなくて。なんで起きちゃったかな、寝れていればよかったのに。少し体を起こせば部屋は薄暗く、外もまだ暗いようだ。ひんやりと冷たい空気が素…

羅威刃に加入した話

アジトに帰るとなんだか騒がしかった。のりあきくんは多分いつもの部屋にいると思うんだけど……なんでこんなに賑やかなんだろう。お土産あるのになぁ。まあいっか、いつものようになんとかなるだろう精神でのりあきくんのいる部屋に行こうと足を進める。「さ…

陣内賢斗と仕事の話

借金を背負った女の子がなるべく体を売らずに借金を返済するところ。主に男に対して酒と華やかな場を提供するところ。私はそこのオーナー。どうしてもお金や色恋が絡む場所ではあるのでどうしてもトラブルっちゅうんはついて回るモンやな。まだキャバやっての…

穏やかなひと時の話

彼から離れる自由はないけど他はある程度許されるし、こうして普通に過ごしていたら来ることのなかったところへ来ないだろうなって明後日の方向で考えている自分がいる、とても複雑。なんなら移動手段で横抱きにされるのも複雑、裸で、バスタオル一枚に巻かれ…