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設楽紀明とチョーカーの話

は意図せずどこかへ迷い込むことが多かった。その度に探し回ったし、きょとんとした顔にイラついたこともあったがホッと安堵の溜め息を吐いたのも事実だった。怪我をこさえてくることはなかったが、息を切らしていることはあったから変な輩に追いかけ回された…

久我虎徹と水族館に行く

「久我さん、水族館行ったことないんですか?」そんなちゃんの一言がきっかけだった。家族でどこかに出かけるとか、ダチと遊びに行くとか、正直多くはない、前者はゼロだ。煮え切らない返事をすると、ちゃんはそれなら、と言葉を続ける。「今週末、一緒に行き…

伊武隼人とネイルの話

数日前、友だちの嬢によって彩られた指先をしげしげと見つめる。なんて言うんだっけこの緑……薄緑……にしてはちょっと明るいか、淡萌黄……でもないな。マスターに爪やってもらった、爪やってても仕事していい?と聞いたついでにこれ何色?と聞けば苔色じゃ…

伊武隼人は気に入らない

「……お前それどうした?」「殴られた」「いや、それ殴られたっていうか、リンチ受けたレベルッスよ……!」「殴られた、で、やり返した」店に顔を出すと酷く顔を腫らしたがカウンターの奥で片付けをしていた。なんでCLOSEの札が出ているのか不思議だっ…

伊武隼人のカチコミについていく

泣き声が頭にこびり付いて離れない。友達の、助けて、って、声が途切れない。「ってことで眉済さんにも許可もらったんで着いてく」「……は?」「えっ、さん来るンスか……?」私の言葉に珍しく伊武さんが目を丸くし、阿蒜くんが口の端を引き攣らせる。最近、…

伊武隼人と飲んで酔い潰される

ゴンッ。そんな音を立てて、隣で飲んでいた女が顔から机に落ちた。恨めしそうに「いたぁい……」と突っ伏したまま声が聞こえる。酒に弱えなぁ、まだそんな飲んでねえだろ。……ああいや、少し度の強いものにしちまったけど。負けず嫌いが災いして俺のペースに…

伊武隼人と煙草休憩で出会す

「よぉ、サボりかぁ?」「げっ……伊武さんじゃん……」あー疲れた、今日は変な客少なくて助かるけども。そんな気分で溜め息を零しながら煙草を咥えて火をつける。店の裏で適当に積んであるビール瓶のケースに腰かけ、大きく息と共に煙を吐き出した。ここら辺…