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なんちゃって転生者のワノ国生活⑧

ああ、ああ、ああ!とうとうこの日がやってきてしまった!内通者からの手紙を震える手で開く。光月トキの力であの二十年前から飛んで来た、光月の亡霊共。いつか、いつか来るとわかっていた。時を超える能力だって?今となっちゃ存在しようがしなかろうが構わ…

なんちゃって転生者のワノ国生活⑦

「逃がしちまってよかったのか?」からかうように言えば、キングはなんとも言えない顔をしていた。マスク越しでもわかるだろうが、何年の付き合いだと思ってんだ。座敷牢まで用意して、一度はそこに閉じ込めたものの意外にもキングはあっさりとあの女を手放し…

なんちゃって転生者のワノ国生活⑥

なんとか牢の中から出られないかと格子から頭を出して猫のように抜け出そうと思ったら嵌った。それをやって来たキングに見られた、めちゃくちゃ呆れたように溜め息を吐かれて頭を押されて戻された。いたたたたたたた。もうちょっと優しくしてもろて。何が不満…

なんちゃって転生者のワノ国生活⑤

「申し訳ございませんが小紫様、そのような高価なものは受け取れません……」本当に申し訳なく目を伏せる姿になんと答えればいいのかわからなかった。始めはあのオロチが大切にしている姫様だと聞いたから近づこうとしただけなの。きっと、オロチに似て傲慢な…

なんちゃって転生者のワノ国生活④

大したものだと思った。目が見えない、正確には見えても色が見えないその女は墨だけで色が想像できるような絵を描いていた。生まれつきなのだという。だから人に赤だの青だの言われても、それがどんな色なのかわからない、知らない、知っているのはそういう名…

なんちゃって転生者のワノ国生活③

姫様と呼ばれているにしては、あのオロチの血縁にしては、何もかもが似ていなかった。恒例の火祭り一週間前の宴ではオロチの隣に座していたがぼんやりとした表情で黙々と食事を口に運び、時折オロチと言葉を交わす程度。てっきりオロチの権力を盾にしているの…

なんちゃって転生者のワノ国生活②

「ほら見てみろ、あれが桜だ」可哀想だと思った、不憫だと思った。こんなおれの心にも、自分と同じ血の流れる子どもに同情をする心が残っていたらしい。小さな手を繋いで青空にそれはそれは映える綺麗な桜を見せても子どもはきょとんと目を丸くするだけ。子ど…

なんちゃって転生者のワノ国生活①

大体移動する時は誰かが手を引いてくれた。ばあ様が多かったかな、その次はおじ様だったっけか。お前は見えねェからな!世話が焼ける!とか文句を言いながらも手を引いてくれたっけ。いやね、別に見えないわけじゃないんだよ、色が見えないだけで。そう言って…