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兄貴分と再会したら四皇の大看板だった④

最近、キングの様子が変わったような気がする……ここへ来て早いものでもうすぐ半年、大分馴染んだ。ヤマトくんを探してはお話したり、突っかかるフーズ・フーを返り討ちにしたり、ブラックマリアと甘いもの食べたり、ジャックくんにキングのご機嫌取りを必死…

兄貴分と再会したら四皇の大看板だった③

「あ、兄御たち……怒鳴り合うのはやめた方が……」ジャックに諌められ、クイーンと揃ってそっちへ視線を向けると妹分、がジャックの後ろで耳をべしょりと垂れさせ尻尾を足の間に挟んでいた。なんてことない、お互いの粗に怒鳴り合っていただけだ。ぷるぷると…

兄貴分と再会したら四皇の大看板だった②

この宴に終わりなんてなかった、終わって欲しかった。あの後キングとクイーンが怒鳴り合いを始めて耳が痛くなったし何より怖かったので、飛び六胞のひとりに休んだらどうです?と提案されたのをいいことにこそこそ抜け出してちょっと離れた少し静かなところへ…

兄貴分と再会したら四皇の大看板だった①

幼い頃の記憶って、曖昧なところもあればはっきりしているところもある。一番鮮明に憶えているのは、奇妙な清潔感が不気味な研究施設で、そこで出会った私より十くらい年上の男の子。閉じ込められている部屋が同じだったのもあって、幼い私は懐いていたと思う…

キングの育児日記④

○月✕日娘が半泣きになりながら羽繕いをしていた。まだ小さな翼とは言えど、羽繕いは慣れないのか整えた傍から気になって乱して、の繰り返しだ。……可愛かった、おれの娘可愛い。じっと見ていたら求めるようにおれを見上げたが、おれと娘のサイズが違い過ぎ…

キングの育児日記③

○月✕日反抗期到来。いい子だったからか、やけにおれの言葉にも突っかかってくるようになった。聡明なのはいいことだが、パパにまでそうやって突っかかってくるのはやめねェか……カイドウさんに相談したらやけにニヤニヤしながらそういうモンだ、娘なんか特…

キングの育児日記②

〇月〇日困った。娘の服装はどうするか。おれに似た可愛い娘の顔を隠すのは惜しい。だがそのままだと娘の身もおれの身も今まで以上に危険が付き纏う。カイドウさんに相談したらせめて可愛い服にしてやれよと言われたが……肌や髪はともかく、顔は隠してやらね…

キングの育児日記①

「娘です」「むすめです」そう言って右腕がちんまりした子どもを抱き上げて紹介したので思わずそのまま酒を吐いた。クイーンはこれでもかと目を見開き、ジャックは白目を剥いて倒れる。キングの腕にはまだ十になっていないであろう幼い女の子が。どこから攫っ…

なんちゃって転生者の新婚生活⑨

「海だ……」ぽかんとしながらデッキで呟く女に思わず笑ってしまった。おれたちが今いるのはオロチの手配で乗っている豪華客船。新婚旅行に、とそのチケットを受け取った時は女と揃ってひっくり返るかと思ったな、ちなみに嫁はひっくり返った、ちょっと可愛か…

なんちゃって転生者の新婚生活⑧

「はい、完成ですよ」ヘアメイクさんの声に顔を上げれば、鏡の中の私は色はよくわからないけど綺麗になっていた。色はわからなくてもなんかこう……華やか?ドレスの色が濃いから顔は控えめ、でも唇は日和が似合うと言ってくれた濃いめの赤で彩られている、と…

なんちゃって転生者の新婚生活⑦

あの子はとても不憫な思いをしてきたと思う。引き取ったのはあの子が小学生の頃だ。当時、割りと早い段階であの子が色を認識できないとわかってはいた。どんな色なのか教えたものだ。ただ色の名前を言っただけじゃ想像できないから、できるだけ詳しく。教養も…

なんちゃって転生者の新婚生活⑥

白い衣装に身を包んだ女が恥ずかしそうに頬を赤く染めた。着せ替え人形のようにして悪ィが、さすがにこればかりはおれだけじゃ決められねェからな。ウエディングドレスはもちろん、白無垢も合わせて女が気に入りそうなものを探す。前のことを考えるなら白無垢…