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詐欺師が刑事のヘアセットをする

珍しくあいつ寝坊だな。いくら休みとはいえ、もうとっくに十時過ぎだ。……ま、昨日帰ってきたのが遅かったもんな。追っている事件の大詰めだと言ってここ数日は署に泊まり込み、俺に連絡をよこして猫たちの世話を頼むくらいだ。それに帰ってきた昨日もにゃあ…

詐欺師が記憶喪失になる話②

最近のイライラもあって机を蹴り上げれば目の前の容疑者は目に見えて肩を揺らし、同じように肩を揺らした同僚は書記をしていた手を止めて物に当たんなやと私を咎めた。つい先程、後輩が羽交い締めにしてパトカーに詰め込んだ例の違法マイク所持者。聞けば出る…

詐欺師が記憶喪失になる話①

ほんと世の中クソッタレだ。衝撃的な事実を叩きつけられると周りの音がなるなるような感覚に陥ることを知った。信じたくないことを知ってしまうと息がしにくいんだと知った。簓くんと盧笙くんが目の前の人に何か言っている。しっかりしろ私、ここで顔に出すな…

猫吸いしていた刑事と目撃した詐欺師

スゥゥゥゥゥゥゥゥ。そんな音が合うだろうな。の部屋に上がってリビングで見たのは飼い猫の腹に顔を埋めて深呼吸をする女の姿だった。白い飼い猫が犠牲になっている。そんな飼い主の姿を見た新参者の黒い飼い猫はキャットタワーの上で怯えたように身を縮こま…

吸血鬼の詐欺師と刑事の話(パロ)

食われる、と他人事のように思った。吸血鬼ってのはこの現代に存在するんだなって感心した覚えも、その数が少数ってところにだよなって納得したことも。でもまさか、近くの人がそうだとは思わないじゃん。やけにレバーやほうれん草食べるし、時には鉄分補給の…

詐欺師と花見をする

大分暖かくなってきたな、コートを腕にかけてふらふらとオオサカ城公園を歩く。ほんの数日前は雪もちらついて冬に逆戻りはしたけれど、今日は快晴だった。ちょっと冷えるのは朝晩だけで、昼間は暑く感じる時だってある。春らしいっちゃ春らしいな。そう思いな…

いつか来るさよならの日まで

その日が近かれ遠かれ来るのだとわかっている。知らないふりをして、気づいていないふりをして、来ないでほしいという自分の気持ちに見て見ぬふりをして、ただ日々を送る。「最近来ないなぁ……」これから動物病院で飼い猫たちの健康診断があるので、嫌がる猫…

詐欺師と吸血鬼の刑事(パロ)

暗い寝室のベッドで毛布を被って蹲る女を見下ろす。外は快晴、だというのにこの寝室は遮光カーテンが日光を完全に遮っていた。陽の当たるリビングでは女の飼い猫が心配そうに鳴いている。女は吸血鬼だ。このご時世に、しかもこんな存在がいるなんて始めは信じ…

詐欺師と水族館デート

入館して真っ先に売店に寄ろうとしたに思わずストップをかけた。なんでそこなんだお前は!しかもなんでそのでっかいぬいぐるみを選んだ!?キョトンとするはちゃっかり手早く会計を終わらせている。脇に抱えるどころかガキでも抱っこしているのかと言わんばか…

詐欺師とある日の朝

なああう。猫にしては可愛くない鳴き声に目を開ける。同時にふみふみと体を踏みつけられる感覚に段々と意識が浮上した。体を起こせば、ずしりと私の腹の上を陣取る大きな黒猫と目が合う。おかしいな、寝室のドアは閉めているのに。まだ眠気の残る頭でそう考え…

詐欺師とピアスホールその後

「大分安定したな」「めちゃくちゃ痛かったけどね」痛くして悪かったよ、とごまかす様に頬を撫で、耳に髪をかけて耳に触れる。俺が開けたピアスホールは安定し、腫れが引いてそれなりに過ぎた。ごついファーストピアスにも見慣れ、そろそろ以前渡した別デザイ…

詐欺師とすれ違い

思えば今までこの曖昧な関係が崩れなかったことの方が奇跡だったんだ。私は刑事、彼は詐欺師。心地よいと思った関係ができることなら長く続いてほしいと思っていた。ほんの些細なことでガラガラと音を立てていつ崩れてもおかしくなかったのに。事の発端は私が…