詐欺師とキスをする
別に笑っているわけでも怒っているわけでもないんだよなあ。くっついては離れての繰り返しで。戯れに唇を舐めたり、甘く噛んだり。あまりしないことをするもんだから恥ずかしい、割と本気で。私に構ってほしそうにしていた飼い猫は拗ねたようにキャットタワー…
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詐欺師がペディキュアを塗ってくれる
「楽しい?」頭上から聞こえる問いに「おう」と答えれば感心したような声が帰ってきた。刷毛に取るのは赤、それを薄いピンクの爪先に滑らせていく。の視線が一度俺の手元に落ちて、それから賑やかなテレビへ戻った。どうせ内容なんて入ってないだろうし、暇だ…
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詐欺師が弱視だった話
ベッドの上で、辛そうに大きな体を丸めて蹲る姿を見るまで確信が持てなかった。天谷奴さんはオッドアイだ。虹彩異色症、ヘテロクロミアともいう。左目は綺麗な澄んだ緑、右目は黒と言うにはもの足りない灰色。医学に関して知らないことだらけなのだけど、オッ…
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詐欺師に溺れる
溺れる夢を見た。いや、正確には溺れていないんだろうけど、いつも過ごしている街中が空まで水に満たされるなんて夢だし、息もできている。なんでみんな水に浸かってるのに息できてるの?と簓くんと盧笙くんに聞けば「何言ってんだこいつ」とでも言いたそうな…
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詐欺師と猫の日
「にゃにゃにゃにゃー!!」なにこれー!!そう叫んだつもりなのに言葉はまったく違う言葉で口から出た。確かにさっき逮捕したやつはマイクを持っていた、申請もしないのにマイクなんか持ちやがって。リリックを真正面から受けたけど、残念ながら我がディビジ…
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詐欺師の誕生日を祝う
もっと早く言ってくれればもっと豪勢にお祝いしたのに。そんな顔を隠そうともしないで頬杖をついた女が俺とグラスをぶつけてから俺をじとっと睨む。ンなこと言われてもなァ、おじさんが自分の誕生日を自分から言うのってなかなか勇気がいるもんだぜ?明日は休…
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この悪夢が正夢になりませんように
これは夢だ、夢に決まっている。だって、このH歴は警官でさえ銃を持たないでヒプノシスマイクを支給されているから。だって、本気になった彼に敵うわけないから。これは夢、悪い夢。夢の、はずなんだ。使い慣れていた支給品の銃を持って、天谷奴さんを取り押…
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詐欺師とダイエットする②
「……」「……」「……天谷奴さん」「言うな、皆まで言うな」言うつもりはないんだけどさァ……筋トレまではよかったんだよ。運動前にストレッチして、解れたところでマシン使っての筋トレまでは。天谷奴さんベンチプレスめっちゃ上げられんの凄かった、月並…
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詐欺師とダイエットする①
まあほら、ストレスってやつですよ。仕事に忙殺されないようにするにはストレス解消するしかないじゃない。私の場合それが酒に向いたわけで、酒のお供はつまみなわけで、夜遅くに飲むわけで、三十路なわけで。見事に太りました。体重計に乗ってみれば3キロ程…
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詐欺師は愛猫に嫌われている
吾輩は猫である。名前はある、飼い主の名前に因んで〝ロク〟という。最近飼い主じゃない人間が我が物顔でこの家に上がり込んできてちょっと不満である。飼い主はいい、相変わらず吾輩の毛並みを整えてくれるしご飯もくれるし暖かい住処だって用意してくれてい…
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詐欺師に寝かしつけてもらう
なんだか寝れない日が何日か続いた。ちょっと前のように飼い猫が夜中にいきなり走り回ってはしゃいでるわけでもないし、私のテンションがハイで眠れないわけではない。なんだろう、仕事のし過ぎかな?最近毎日のように逮捕案件が続いてるからだろうか、遅く寝…
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詐欺師がピアスホールをつくる
「ピアスの方が好きなデザイン多いんだよなー」女が呟いた言葉が何故かいつまでも残っていた。長い髪で隠れる耳に穴はもちろん傷一つもない。もったいねえなぁ。そう思ってから行動は早かったと思う。自分は開けてないくせに、女ひとりにピアスホールをつくっ…
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