MHA

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。雄英OG。個性は〝強化〟で自分自身の身体能力だけでなく触れた他人の個性を任意で強化することが可能。生まれてまもなく母方の家に引き取られ、従姉妹たちと育つ。父親は、オール・フォー・ワンに次ぐとも言える──通称〝Mr.ストレングス〟という敵。…

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いつか誰かが気づいてくれると思って叫んでいた。けれど、気づいてくれていても、誰も応えてはくれない。もしかしたら、私は元々存在しなかったのかもしれない。そう思うくらい、現実は残酷だ。「いつまでそうしてるんだよアル中か」「……うるさいな」「その…

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親がヒーローの子が羨ましい。そんなこと言えばプレッシャーに潰されるだの、期待が重いだの、あんなにはなれないだの、言葉だけ聞けば嫌そうなのに、嬉しそうに笑っている。ヒーローが親の子が羨ましい。きっと悪意や世界の脅威からさぞ守られて、自身もいつ…

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「怪我は」「まだ治りきってない」「そりゃよかった」「何がだ殺すぞクソ女」「やってみろクソ野郎」「はいはい喧嘩しないでください」お互い椅子から立ち上がって構える。雄英襲撃から大分過ぎ、世間では雄英体育祭で盛り上がっていた。さすがに死柄木が満身…

「いつまでそうしてるつもりですか」「もうちょい」ごめんね、としょーちゃんに告げてアジトのバーに戻ってきた。死柄木は傷がまだ癒えないのであまり自分の家から出ないらしい。必然的に、ここには私と黒霧だけ。カウンター席で突っ伏してお酒の入ったグラス…

ねえ黒霧、ひとつ頼みがあるんだけど。1時間だけでいいから外に出ていいかな、別に警察行ったりヒーローの事務所行ったりはしないよ。もちろん、顔も割れてるから手配されてるだろうけど、捕まる気もさらさらない。昨日のUSJでぶっ倒れるまでお前らに力貸…

目が合った。敵と思い、殴りかかったが難なく避けられ、ついでに主犯格の男を引っ張った彼女は声には出さなかったが私と目が合うと何かを呟いた。それが馴染みのある言葉だったから、彼女の表情が追い詰められていたから、彼女の──さんの立場をなんとなく察…

骨が折れる音とか、肉の潰れる音とか、それを耐えるような苦しい声とか、全部全部聞きたくなかった。痛々しい有り様を、大好きな人が苦しむ顔を、何か言いたげな表情を、全部全部見たくなかった。あなたには私がどう見えているのかなぁ、敵に見えているのかな…

既にヘトヘトでぶっ倒れそうなんですけど。なんなの、なんで私がこいつら3人に個性使わなきゃいけないの?つーかそう何人もできないって言ったのに聞かないし。目眩がする。今すぐぶっ倒れたいけど死柄木が私を胸倉を掴んでいるからこれは倒れたら苦しいやつ…

「USJ?」「ウソの災害や事故ルームの略」懐かしいな、同期たちと「マジモンのUSJみてえええええ!」って騒いでたら誰か水難エリアで溺れてた気がする。あの警報が鳴って、しょーちゃんや他の先生たちが職員室から出ていったのをいいことに、カリキュラ…

同期の妹で、今受け持っているクラスにいる生徒の姉で、受け持っていた教え子が突然学校に顔を出した。ややこしいだろうが、そういうやつだ。三姉妹の真ん中というのは建前で、従姉妹と育った女の子。似てるからか、姉妹と言われても違和感はない。それに、こ…

あーあ、気が重い。来るのが嫌で嫌で仕方なかった。いくら卒業生とはいえ、その後に発覚した件でここは立ち入り辛い場所になってしまったから。学生時代にもらった学生証をジーンズの後ろポケットに突っ込み、遠慮なく門をくぐる。ああ、懐かしい匂いがするな…