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お正月を灰谷兄弟と過ごす

「蘭、竜胆」「ん?」「なにねーちゃん」「私出かけるからその前にこれ渡しておく」福袋買いに行くからと準備をしていたねえちゃんから渡されたのはポチ袋。……えっ、これってあれ?オレらもらったことねえけどあれだよな?可愛らしいポチ袋にはお年玉、それ…

もしも灰谷兄弟と年齢差が逆だったら②

「過保護!!ついて来んな!」そんな捨て台詞と共に従妹は大きめの鞄を持って家を出て行った。安心してほしい、家出じゃねえから。ただ遊びに来ていた従妹が外に絵を描きに行くっていうからついて行こうかってしつこく聞いただけだから。普段声を荒らげること…

もしも灰谷兄弟と年齢差が逆だったら①

「おっ、じゃん。元気ィ?」「つーかオマエ伯父さんは?」「ひとり」「……は?」「えっ、がこんな都会にひとり……!?」見知った顔だなーと思ったら、従妹のだった。ぽつんと本屋の前で立ってはキョロキョロと周りを見渡し、それからその場にしゃがんでじっ…

もしも出会ったのが10年遅かったら

「ぎゃああああああああ!!」「下ろせえええええええ!!」「……ええー……まさかあのふたりやらかしたか……?」家中に響く甥っ子たちの悲鳴に思わず頭を抱えた。少年院にも入った経験があり、なのに素行の悪さは改善するどころか悪化する甥っ子たちにふた…

もしも梵天マイキーの看病をしていたら

「もう少し食べてほしいけど食べれる?やめとく?」「……いらねえ」「わかった。じゃあ一度下げるから薬飲んで」「……」「そんな顔しても飲まないのはなしだからな、飲まないなら望月でも呼んで飲ませてもらう?望月が佐野を羽交い締めにして無理矢理私が口…

もしも柴家の親戚だったら

「私の前で何してんだクソガキ」「ってえな……いきなり飛び蹴りしてきやがって何言ってんだクソババア!」「誰がクソババアだ私の前で乱暴始めたらぶん殴んぞ」「もう蹴ってんだろ痴呆かクソババア」「よしもう一発なクソガキ」今日はいい天気だなぁ、天気よ…

もしもデザイナーとお仕事をしたら②

「いだだだだだだだ!!ねえちゃん!ねえちゃん肩外れる!!」「や、やめたげてねーちゃん!その技ガチで肩外れんから!!」「何言ってんだコンクリブロック持つ腕でなんていらねえだろ」「いっでえええええええ!!」「に、兄ちゃああああん!!」「次はオマ…

もしもデザイナーとお仕事をしたら①

「はじめまして三ツ谷さん、今日はよろしくお願いします」「は、はじめまして!お願いします!」今日はいい天気だなぁ、さっきまで雨降っていたけれどもう快晴だ。今回、とあるデザイナーさんとお仕事するのはどうかと話が来たのでとりあえず会いに来た。私よ…

幸せが壊れた末路を知っているか

灰谷兄弟が子どもを攫ってきて一週間が過ぎた。あの子どもを姐ちゃんの名前で呼んで、自分たちを名前で呼ばせて、傍から見りゃ狂ってる、どう見ても。ニュースにだってなっていた、両親を殺された挙句誘拐された女の子。何が起こったかなんてわかってねえんだ…

幸せは壊れたまま戻らない

が死んでどれくらい経っただろうか。あれは不運な事故だった、誰がどう見ても誰かの意図なんて感じない、不運な事故。そんな事故で姉貴分を亡くした灰谷兄弟は、今では平静を装っていた。いつもと変わらない言葉、いつもと変わらない行動、ただ、表情が抜け落…

幸せは変わらなくても周りが変わってしまったら

いつから歯車が狂ったのか私にはわからない。最初からだったのかもしれない。それこそ私の知らないところで、確実に歯車は狂ってしまって、直しようもなくて、けれどここに留まらされたまま。いっそ私も狂ってしまったら楽だったのかもしれないけれど、良いの…

幸せはいつだって変わらない

「あれーじゃん、どうした?」「えー……めちゃくちゃ泣きそうな顔してる」「……の、……き…………た……」「ん?」「え?」「あの、クソガキ、絵を台無しにしやがった……」地を這うような低い声に思わずオレと竜胆が姿勢を正した。珍しく連絡なく六本木に…